新型コロナウイルスによる影響で、世界の国々ではロックダウン状態の都市があったり、日本でも緊急事態宣言発令という、厳しい状況が続いています。そんな中、何気ない普段の会話の中で、
「早くいつも通りに戻れば良いね」
という言葉をよく耳にしますが、新型コロナウイルス発生前の状態には、もう戻れないと思っています。未来から振り返れ、現在は大変革の時期として歴史の教科書にのるのではないでしょうか。
今日は新型コロナウイルスによる影響で起こりうる大きな変化について、仕事・キャリアまわりのことについて考えていきます。
Contents
コロナによる世界での影響
この記事を書いている2020年4月現在、日本では感染者は爆発的に増加していますが、それでもロックダウンまではいかず、いまだ、電車で通勤している方も多いようです。一方で、アメリカや、僕の住んでいるオーストラリアの都市ではロックダウンがすでに発令されています。
「日本よりも先に感染が拡大した国々で、今何が起きているのか」を把握しておくのは、将来を予測する上で重要でしょう。
- アメリカでは、3月中旬からのほんの3週間で、失業保険給付の申請件数が1600万件を超えた。
- 世界中の33億人の労働者の81%が、職場の全面的または一部閉鎖に直面している。特に、宿泊、飲食、観光業で大打撃。
- オーストラリアでは、ロックダウンにより、レストラン、パブなどはテイクアウトのみ営業許可、公園・ビーチ封鎖、海外渡航禁止。生活に必要不可欠な買い物、通勤、通学、運動などをのぞき、自宅での待機を要請。規定に違反した個人には、1,000ドル、企業には5,000ドルの罰金。
というように、多くのサービス業は、ほぼ営業できない状態であり、すでに多くの解雇者、一時解雇者が発生しています。
日本でも解雇が増えるのか
アメリカやオーストラリアに遅れて、日本でも感染者が増えていますので、遅かれ早かれ、同じようなことが起こると予想できます。
- 解雇しやすい非正規社員(バイトなど)からの解雇
- 中高年のリストラの加速(コロナを理由に人員整理)
①については、労働契約上、正社員よりも解雇しやすいので、まず非正規社員から解雇されます。
②に関しては、新型コロナウイルス発生前でさえ、中高年のリストラは進んでいました。企業側に、たくさんの中高年を抱える余裕がなくなってきているからです。コロナウイルスによる業績悪化も加わり、さらにリストラが加速するでしょう。
ちなみに、欧米、欧州の国々では、業績が良くてもリストラ(人員整理)を行う会社は普通にあります。社会、市場の変化によって、必要のなくなるポジションが出てくる、社員に求めるスキルが変化するというのは、普通に起こりうるからです。
転職するなら他人よりも早く動き出すべし
これから、うちの会社やばいかもと徐々に気付き出す人、コロナウイルスによる業績悪化により解雇される方なので、転職市場に多くの求職者が流れ込むことが予想できます。
コロナ以前でも、中高年のリストラは進んでいましたが、まだまだ売り手市場でした。現在は好調なテック関連企業を除けば、多くの企業は採用をやめ、人員整理をし、会社として生き残ることに精一杯です。
ということは、近い将来(もうすでに?)
仕事を求める人 >>> 求人案件
という構図(買い手市場)になることが予想できます。日本はアメリカやオーストラリアなどで実行されているロックダウンなどの強硬策をまだ取っていないので、あれだけの感染者数が出ていてもレストランなどは営業しているし、平日の通勤電車などはそれなりに混雑しているようです。
先程のべたように僕の住んでいるオーストラリアでは、3月から早々にロックダウンが実施され、多くの企業で解雇や一時解雇が発生しています。特に飲食店はテイクアウトのみの営業許可、一般市民は通院や仕事を除いては自宅待機が要請され、違反が見つかれば罰金が取られるという状態ですので、人々は基本的にずっと家にいる状態です。こんな状態では誰もお金を使いません。
ですので、日本でもこのような強硬策が取られれば、急速に失業者の数が増え、転職市場に人が溢れ返ることになるでしょう。
心理学用語に「正常性バイアス」という言葉があります。コロナウイルスによる感染リスクや、解雇の危機があるのに「自分だけは大丈夫だろうと、都合のいいように解釈してしまうこと」です。
正常性バイアスに陥らないように、転職を考えている人は少しでも早く動き出すことをオススメします。転職未経験者向けに【失敗しない】おすすめ転職サイト・転職エージェント3選で、転職のヒントやオススメの転職エージェントを紹介ししているので、よかったら参考にしてください。
新型コロナウイルスの影響による働き方の変化
新型コロナウイルスの影響により、欧米に遅れて日本でも漸くリモートワークが浸透してきています。これは、大変な苦しい時期の中にあって、大きなプラスの変化でしょう。
これまでただリモートワークに挑戦しなかった企業が、中ば強制的にではあるが、いざやって見るとリモートワーク可能だと気づいてきてるというのは、良い変化です。
リモートワークが浸透していく中で、以下のような変化が「日本の働き方」に関して生じると予想できます。
- 会社への就職から、欧米のようなポジション採用となる。
- 社員の評価システムがより明確になる。
- 自動化、デジタル化、IT化へのさらなる追い風が吹く
それぞれみていきましょう。
1.会社への就職から欧米のようなポジション採用となる
日本ではこれまで、多くの人が会社に就職をしていました。普段の会話でも、「どこの会社で働いているの?」と問いかけることが多いでしょう。一方で、どんな仕事をしているのかは、あまり話題になりません。
また、新卒で会社に入っても、自分が営業にいくのか、経理にいくのか、はたまた人事にいくのかは、会社が決めるわけで、自分で選択することはできません。さらに、最初営業に配属されても、5年後とかに、「君は次人事ね」とか、「中国赴任だ!」とか、会社から言い渡されます。これが会社への就職と言うことです。
この会社へ就職するというシステムは、リモートワークや今後の転職が活発になる社会との相性が良くありません。社員をポジションで採用していないので、社員ごとの仕事の範囲・役割が明確になっていないことが原因です。そうすると、リモートワークをしていても、自分のやるべき仕事が明確でなく、いちいち、上司、チームのメンバーと確認する必要が出てくるでしょう。これはとても非効率なわけです。
ですので、次第に欧米・欧州・豪州のような採用システムに変化するでしょう。
2.社員の評価システムがより明確なる
1で説明した通り、リモートワークが一般的になる世の中では、社員ごとの仕事の役割を明確にする必要があります。仕事の役割が明確になれば、社員の評価システムもよりクリアになってくるでしょう。
よって、「出社することが仕事」だと思っていた方には、困難な未来が待っています。
「リモートワークだと家で何をしていてもバレないから楽だ」と思うかもしれませんが、そうではあります。自分の仕事を爆速で終わらせれば、確かに余った時間は好きなことができるでしょう。しかし、自分の仕事をマネージできないと、その責任は当然自分となり、シビアに評価されてしまいます。
リモートワークが浸透し、個々人の役割・責任範囲が明確になれば、「あれ、この人何やってんの?」というように、余剰人員(必要ない社員)まであぶり出されることになるでしょう。
良く巷で、「外資系は実力主義だから怖い」というような意見を聞きますが、これはこのクリアな評価システムからきているように思います。
3.自動化、デジタル化、IT化へのさらなる追い風が吹く
現在、外出自粛、リモートワークにより、自動化、IT化が進んでいない分野が明確になってきています。今後、その分野への投資が活発になり、さらにプログラマー・エンジニアの採用が増えていくと予想できます。
こんな不況化でも、「アマゾンでは追加で7万五千人を追加採用。」(エンジニアだけではありません)。ロックダウン中のオーストラリアでも、アトラシアンなどのテック企業では、ここぞとばかりにエンジニアを採用中です。ZOOMで面接し、採用オファー後は、アトラシアンから新品のMacBook Proなどが入ったスターターパックが届き、一度も出社することなく、完全リモートワークで仕事を開始するそうです。こういう時に、体力のある企業は、お得に優秀な人材を採用できるわけです。
エンジニアへのキャリアチェンジに興味がある方は、以下の記事も読んでみてください。
まとめ
コロナ危機により、日本の労働システムは、欧米・欧州・豪州と似たようなシステムへの移行を余儀なくされています。コロナ危機が発生していなくても、徐々に移行はしていましたが、コロナ危機により、さらにスピード感をまして会社の人員整理、採用の仕方、個人の働き方の大変革が起こるでしょう。
このコロナ危機による変革の時代を、自分なりに考えて実際に行動に移す人と、傍観者になるだけの人では、たとえ今、同じ会社で働いている二人であっても、その後の人生に大きな差が生まれると思います。
Stay safe!