今回は総合商社、伊藤忠商事のオーストラリア現地法人で働いた経験について紹介致します。駐在ではなくて、現地採用です。
最近は、新卒から海外の現地採用を狙う学生も増えてきているようなので、海外就職を考慮する上での参考になればと思い記事にしました。
シドニーに来る前に私は、日本の船会社(海運業)で3年間の実務経験を積んでからきました。詳細は、下記の記事を参考にしてください。
元社員による船会社、川崎汽船で働くとはシリーズ。
- 【元社員による】川崎汽船で働くとは【シリーズイントロ】
- 【元社員による】川崎汽船で働くとは【業務内容】
- 【元社員による】川崎汽船で働くとは【同期入社の仲間達】
- 【元社員による】川崎汽船で働くとは【年収と福利厚生】
- 【元社員による】川崎汽船で働くとは【まとめ】
ウッドチップ輸出に関連する業務
私の採用となったチームは、紙、ウッドチップを扱う部署でした。
チームは駐在員1人の下に、現地採用が私を含め3人です。
50歳ぐらいの駐在員(General Maneger)、45歳ぐらいのオーストラリア人(senior manager)に、私(assistant manager)、そしてサポートスタッフという構成です。
私は、日本でもチップを扱う仕事をしており、この業界は非常に狭いでの知っている人も多かったですし、前職の船会社で担当していた船(チップを運ぶ船)に、今度はお客様の側として訪問したりと、ウッドチップの取引を異なる側面から見ることができたのは非常に良い経験となり、面白ったです。
商社の行うウッドチップビジネスのメインの売り先は、中国や日本の商社、もしくは製紙会社です。そして、ウッドチップビジネスメインの仕入先は、オーストラリア、ベトナム、ブラジル、北米です。
私のいたシドニーの管轄はAPACエリアですので、オーストラリア、ニュージーランド、フィジーでの仕入れを担当していた感じです。
商社は、このウッドチップの仕入先を見つけ、価格交渉し、それを運ぶ船を手配して、売り先まで届けるというのが、商売となります。
簡単に言えば、売値−買値=利益 となる商売です。
この商流の中でも、私のいたシドニーでは、仕入れ先の港から貨物を出荷するまでが、メインの担当となります。その後は、東京の本社が担当することになります。
商社マンのイメージとして一般的な、仕入先をどんどん新規開拓してやる!!!という感じかと言えば、そうではありません。皆様、ご存知のように紙の需要は減少傾向にありますので、あまり成長の望めるエリアではありません。ですので、実際のところ、買い付け先は限定的です。
なかには、商社と製紙会社で立ち上げた、いわゆる joint venture company があり、そこで生産しているウッドチップは優先して購入しなくてはならない、というようなケースもあります。今年度、どれだけのチップを、どこから、いくらで買うか、というのが焦点となります。例えば、じゃ今年度は、仕入先Aさんから、??円で、何トン買うねというのが、製紙会社さん達との交渉となります。
どこの商社もチップのビジネスに関しては似たような感じだと思います。
下の写真は、チップの船積みの監督業務にフィジーのある港に行った時の写真です。ホテルも何もなくて、あるのはチップの山のみです。
現地の方にベッドを一つ借りて、たくさんの野生生物たちと共に一週間を過ごしました。
何もないとこでしたが、今までで行ったどこのリゾートの海よりも、綺麗でした。
私のような現地採用の若手が実際にやっていたウッドチップ関連業務を少し具体的に説明します。
チップを船に積み込む際の立会い業務
実際に、チップの仕入先まで行きサプライヤーと話をしたり、貨物の荷役状況を現場で見守り、貨物の売り先に提出するレポートを作成します。
貨物に変なゴミなど混じっていません、この写真の通り、船につめるだけの貨物をしっかり積み込みましたよと、いうのなレポートです。
実際に荷役作業を行っているのは、シッパー(サプライヤー、チップを生産している会社)の下請けの会社であったりするので、たまに適当であったりもします。お客様側からすると、貨物あたりの原材料コスト(チップのコスト+輸送費/積んだチップの総量)を下げたいので、一回の輸送でより多くの貨物を積みたいわけです(船の輸送コストは固定値と考えてよい)。
商社(チップを売る側)からすると、多くの貨物を売り売上を伸ばしたいたので、少しでもギリギリまで積みたいとなるわけです。
つまり、双方ともたくさんチップを積みたいので平和なはずですが、実際に積み込む作業をしている人は、売上やら収支やら気にしていませんので、監督することが重要になります。
この業務のために、毎月の半分ぐらいは出張となり、ホテル住まいとう生活でした。
収支管理
毎月、四半期、年度の収支管理。この期間に、どれだけの貨物をうり、どれだけ儲かりましたよという、レポート作成します。
紙製品に関する業務
紙製品取引の方は、地元オーストラリアの紙のディーラーに、こちらが中国や日本から輸入してきた紙の製品を売るという仕事でした。
これこそ元祖商社の仕事というべき、取引の仲介をして口銭(手数料)を得るというビジネスです。紙自体の需要が減っているのもありますが、昨今では自社のチャネルで海外から仕入れてくる豪州のディーラーも多いので、なかなか厳しい環境です。商社を通さないで、直接取引することで仲介料を払わないで済みます。
具体的には、定期的にお客さまを訪問して、情報交換、商品の見積もりを提出、取引のある商品(コンテナで海を渡ってくる)のスケジュールをアップデート、また、採算、予算管理も行なっていました。チームも4人しかいませんので、何から何までやるようなイメージですね。
こちらの紙の商売で、出張は月一ぐらいはありました。
職場環境
オフィスは、シドニーの一等地にあります。
デスクからは、オペラハウス、ハーバーブリッジが見えますし、横は、Four seasons hotel です。このビルには、住友商事さんも入ってました。家賃はシドニーでもトップレベルに高いはずです。
一般的に言われているように、上位のマネージメント人は、日本からの駐在員のみです。
あと組織のバランスとして少し気になっていたのは、若手がほとんどいなかったことです。
会社の雰囲気としては、日系企業ですが、日本の日系企業よりはゆるい印象です。ここは直属の上司によるとは思いますが。基本的にノーネクタイです。
5時、6時に帰る社員がほとんどです。これは、オーストラリアのスタンダードですね。あと、日本のような飲み会、夜の付き合いは、ほとんどありません。こちらの顧客がそれを望んでないので、まあ、当然といえば当然ですね。夜に数回会食がありましたが、それは日本企業の方とです。
給料、福利厚生
給料は他のオーストラリア企業よりは低い印象ですが、シドニーにある日系企業の中では、やはり高い印象です。
こちらの豪州の企業のフルタイムの給料体系では、基本的に残業代はでませんが、この商社はでました。そして、私は深夜早朝土日関係なく船積みがあれば仕事をしていましたので、そこそこの額になりました。
また、引き継ぎ作業というものはあってないようなものでしたので、初めての四半期採算、予算準備の時などは、週末に出張から戻り会社で一人でやってました。シドニーにきたばかりだったので、日本のノリで、つい週末まで働いてしまいました。
ざっくりとした給料を参考までに下記いたします。
- 年俸600万
- 残業+出張手当300万/年
- ボーナス50万/年
と、年収でいうと約1000万ぐらいになりますが、土日もかなり働いてましたし、月の半分ぐらいはホテル暮らしでした。
また、大企業の現地法人だけあって、プライベート保険のサポート、教育費用の補助などは大変充実していました。
今はテックスタートアップで働いていますが、このようなサポートは、アーリーステージのスタートアップ(どスタートアップ)では中々ありません。
まとめ
幸運にも、前職での経験知識を存分に活かすことができるポジションで仕事をすることができました。短い期間でしたが、チームのメンバーにも恵まれ、日系企業の現地採用で働くという、貴重な経験を得ることができました。お世話になった皆様、今でもお世話になっている方々、ありがとうございます。
すべてはどうしても書けませんので、ご質問等あればお気軽にご連絡くださいね!
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是非詳しくお話をお聞かせ願いたいです!!よろしければメールアドレスまでご連絡よろしくお願いします!
高橋さん、
Watablogを読んで頂き、ありがとうございます!
今のところ、無料の質問は、コメントまたはお問い合わせから頂き、ブログ上で回答しています。
よろしくお願いします。
Wata
こんにちは!
私は、先月オーストラリアの大学院を卒業しいま、オーストラリアにて就活中です!現地法人であれば、オーストラリア国籍やPRを持っている人ではないと雇えないといわれ今心がおれかかっています。wataさんは、どのようなルートで日系現地法人を受けられましたでしょうか。
Kajikiさん、
ブログを読んで頂きありがとうございます。
当時の就職活動については、 【海外転職の記録】僕がオーストラリアで現地採用として働くまでに、詳しく書いています。
ワタ